【Review】社会・顧客と共鳴し、感動を創造するマーケターを目指して-4社合同パネルディスカッション【3/3】

パネルディスカッション
未来を紡ぐマーケターへのメッセージ

井上:
金子さん、内山さん、深澤さん、ありがとうございました。いずれも、マーケターとしての信念、あるいはご自身の軸が感じられるお話でした。ご苦労の中にもヒントがたくさんありますね。壁を突き抜けたご経験が今につながっているのでしょうか。

内山:
成果を出し続けるという目標設定が大事だと思います。また、社内だけではなく、サプライヤーとの信頼関係を構築するなど、社外を巻き込むことにも注力しました。

私はポジティブな人間ですが、社内でいろいろあって辞めたくなったこともありました。最終的にネガティブな状況をどのように捉えるか。そこに宝物が隠れているかもしれない。そんなふうに考えています。

深澤:
私の経験で言うと、20年ほど前、花王在籍時代にアジエンスというシャンプーをつくりました。発売した時は爆発的に売れました。花王は技術優先の会社でしたが、その時は最初にCFのデモをつくったんです。消費者のパーセプション形成から逆算してブランドを創造しました。今までの商品開発と真逆の方式です。社内は反対する人も多く、いっぱい敵もつくりましたが、ぶれずに信念を曲げないということで売れたと自負しています。
時として社内にコンフリクトが起きても、やり抜く。しっかりと説明し、貫き通す姿勢は必要だと思います。

井上:
マーケターは、どんなスキルやコンピテンシー、行動特性があればよいと思いますか?

金子:
自ら判断して実行に移せる、自立した人が求められると思います。また、人の心を動かすのは自分の心だと思うので、情熱や自己実現の熱い気持ちが大事だと思います。

内山:
私は内発的とか楽しむこと、そこにつながると思っています。自分の価値観をしっかり認識した上で、仕事につなげるということだと思います。

深澤:
人間研究や消費者をいつも洞察し続ける姿勢が必要だと思います。そして、自分なりの思考や判断の軸をしっかり持つことも大事です。もう1つはグリット、やり抜く力。しっかり目標を定めて諦めないでやり抜くことも大事だと思います。

井上:
これからのマーケターに期待を込めてメッセージをお願いします。

金子:
自ら考え、困難な時にも自分で判断し、実行できる自立した人が求められています。マーケティングをやっていた時、事案を通すのに苦しんでいたことがありましたが、上席から「この会社で『柿の種』を一番真剣に考えているのはあなただから、自信を持って思ったとおりにやりなさい」と励まされました。思い切ってチャレンジし、自信を持つことで明るい光が見えてくると思います。

内山:
伝えたいことは2つあります。1つは楽しんで仕事をしてほしいということ。もう1つはNOを言ってくれる人、高いレベルを要求する人が大事だということです。私自身、無理だと思うことを徹底的に話し合い、それでもやろうと決めた時、違う思考になれた経験があります。スイッチが入った時に違う世界が見えてくることも知っていただきたいと思います。

深澤:
若いマーケターの悩みは、社内に関するものが多いと思います。上司がわかってくれないとか、コンフリクトに悩むことが多いと思います。辛いことは多いと思いますが、ヒット商品が出た時や売上げが大きく上がった時など、必ず報われる時があります。若いうちはさまざまな経験を積んで楽しくやっていれば、いろいろなステップにたどり着けます。心配しないでどんどん楽しんでチャレンジして成長していくと思います。

井上:
キリンの広域流通統括本部では「未来に向けて我々の役割」を整理し、全員で共有しています。
その中で伝えたいことは、時代が変わっても、絶対に変えてはいけないものと、時代にしたがって変えていかなければならないものがあるということ。
変えてはいけないこととして、品質、伝統、品格、そして他者を思いやるやさしさ。また、真剣に取り組んだ仕事は自分に返ってきますから、機会を与えてくれた組織への忠誠心は忘れないでほしいと思います。

一方、われわれが挑戦し、必ずや変えなくてはならないものは、お客様本位を本気で考え、そのための意思決定の仕組みの構築と超高速化、超高質化です。そして、デジタルの時代だからこそ、コミュニケーションの要である話す力(右脳)、書く力(左脳)は鍛えていくことが重要です。

最後に、人生における最大の報酬は、困難な仕事をやり続けることによってもたらされるという事実です。易きに流れていたら絶対成長しないでしょう。常に目標に対して100%責任を全うする。90%なら誰でもできます。100%やるということが自分の更なる成長につながると、私は思っています。

先が見えない時代ですが、希望をもって進んでいきましょう。(終)

(2020年10月22日に実施した「第56回マーケティング総合大会 クロージングセッション」より)

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