【Review】社会・顧客と共鳴し、感動を創造するマーケターを目指して-4社合同パネルディスカッション【2/3】

2020年10月に開催した第56回マーケティング総合大会の統一テーマ「社会・顧客と共鳴し、感動を創造するマーケターを目指して」に込めた思いと、この先の未来について、実務家4人が語ります。(2020年10月22日「クロージングセッション」より)


感動を創造するマーケター:マーケターは人(心)を理解し共感できる
マンダム 内山健司氏

マンダムは「人間系」を企業理念に掲げています。人が喜ぶことを「想像」しながら、人に役立つ価値を「創造」することで、顧客に感動を提供していく。こうしたことがマーケティングにとって大事であり、またベースとなるチームや組織づくりにとっても重要です。

感動体験の提供について、インターナルとエクスターナルの2つのフェーズでお話しします。インターナル、つまり個人やチームの熱量をいかに高められるかがポイントであり、社員が楽しんで仕事をすれば無尽蔵のパワーが発揮され、顧客にも通じるものと考えています。

私の香港駐在時代のエピソードを紹介します。香港駐在時、よいチームのおかげで売上げが約3倍になるなど好業績を残せました。こうしたチームができたのは、理念、使命、ミッション、意義を突き詰め、取り組んだことにあると思っています。

香港赴任時代の内山さん。
香港で開催された美容関連のビッグイベント「コスモプロ」で講演したときの様子

赴任した会社のオーナーからは「売上げ、利益、配当をしっかり出して、社員が毎日笑顔で出社できるようにしてほしい」と言われました。これに対し、私は理念を浸透させたいとオーナーに提案したのです。

理念を掲げたことで内発的な変化が起こり、少しずつ結果が出せるようになると会社が回り始めました。内側に溜まったエネルギーを外側に展開していくのがエクスターナル、これがマーケティング活動につながるのです。マンダムの行動原則は「生活者発・生活者着」。徹底的に顧客を知り抜くことが重要だと考え、迷ったら街に出て生活者に聞いてみたり、ファンづくりを行ったりしたことで、多くの生活者に支持していただけ、それが成果につながったのだと思います。

当社は身だしなみに関する業種のため、COVID-19パンデミックの外出自粛は非常に厳しいものでした。しかし、大きな困難は企業やマインドを変えるチャンスと捉え、内発的動機づけを行いながら変化に対応することが大事だと改めて思いました。

新たなチャレンジとして、マンダムは本格的に除菌市場に参入しました。こうしたチャレンジによって人や組織を変え、これからも生活者に感動を提供していきたいと考えています。

消費者の期待を大きく上回るプラスαで感動を創造する
日清食品ホールディングス 深澤 勝義氏

マーケティングの目的とは、消費者の問題解決を行うことにあり、人間研究に尽きます。そして、マーケティングは「洞察とWHYの連続」であり、またビジネスの源泉でもあります。ビジネスの目的にコンセンサスはありませんが、人や社会を幸せにすることだと言えるかもしれません。

今回のテーマである「感動」は、幸せと密接に関係しています。「感動を創造する」を深掘りすれば、ビジネスやマーケティングの本質とつながり、消費者の期待を大きく上回るプラスαの価値提案をすることとも考えられます。決定的な技術革新が無くても、いままでにない切り口、例えば五感を刺激するなど、ターゲット層の期待を大きく上回る価値提案ができれば、人々の反響を呼び、感動を創造できるものと考えています。
今年はそんな感動をたくさん体験する年だと考えていましたが、現実には先は読めないことを痛感した年であったと思います。
このコロナ禍で先が読めないまさに不確実性の時代、場当たり的な変化への対応ではなく、思考と判断の軸を持たなければなりません。だからこそ、ブランドの原点(存在意義)を明確にしながら、一時的競争優位の連続が持続的な競争優位につながると考えることも必要かと思います。

そこで、このタイミングで見直しを図ったカップヌードルの事例を紹介します。世界80カ国で展開しているカップヌードルですが、各国独自に変化対応を行えば、ブランドに統一性がなくなり、ブランドの約束にずれが生じやすくなります。

世界80カ国で展開しているカップヌードルの普遍的な価値は何か問い直す中で
「TIMELESS FOOD 時を超越する食」と再定義した

ターゲット層のジェネレーションZやジェネレーションαに、カップヌードルについて調査した結果、「コスパの良さ」に魅力を感じていることがわかりました。金銭リソース以外にも、時間、心理面などのリソースに究極の利便性があり、過剰なコストを容認しない若者にカップヌードルの機能的価値が適合していたのです。この普遍的な価値をベースに、時代に適合した一時的競争優位をどうつくっていくか、整理し共有しました。世界中の若者が、好きなことに夢中になれる時間を1分1秒でも長く提供し、おいしさと楽しさで夢中になる力を提供し続けるために。

こうした活動を通じて感じたことは今回のテーマでもある「感動を創出する」というウェルビーイングなマーケティングを、マーケターが価値思考の軸としてきちんと持ち、その判断、活動をし続けることが大切であるということでもありました。

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【Review】社会・顧客と共鳴し、感動を創造するマーケターを目指して
     -4社合同パネルディスカッション【3/3】

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